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著者コメント

10年10万キロストーリー  3

長く乗り続けるのは、私のスタイル 

(ニ玄社)

第1巻、2巻に続き、3巻目の『10年10万キロストーリー』が刊行されたのは、2000年5月。初版の奥付には、4月25日とある。この時には、すでに『NAVI』誌での連載は終了していた。単行本化の準備は、1999年の終わり頃から始めていたから、たまたまタイミングが重なったに過ぎない。
掲載されている記事は、1994年7月号から96年8月号の『10年10万キロストーリー』をに加筆・修正を施したものだ。
取り上げられているクルマを見ると、今から14年前から12年前に過ぎないにもかかわらず、存在しなくなってしまったものが多いのに驚かされる。
目次から、拾っていってみよう。

後輪駆動のプジョー(倉沢正春さんのプジョー604SL)。
空冷エンジンのシトロエン
(林勤二さんのシトロエン2CV、岡野好洋さんのシトロエンGSクラブ)。
後輪駆動のボルボ(酒井孝雅さんのボルボ245GLEエステート)
ハッチバック・タイプの国内向けシビック(岡ゆかりさんのホンダ・シビック25i)

空冷エンジンのフォルクスワーゲン
(小内一豊さん、清子さんのフォルクスワーゲン1200LE)
国産のクーペ(大和一郎さんのトヨタ・セリカリフトバック2000GTV)
いすゞの乗用車
(山本哲次さんのいすゞアスカLS2.0、原田研一さんの117クーペXG)
屋根の開かないソアラ(森田芳男さんのトヨタ・ソアラ2800GTリミテッド)
日本市場から撤退した自動車メーカー(小堀玲子さんのオペル100)

ティーポ、シティ、ルーチェ、ローレル、ブルーバード、セルシオ、コロナ、ウーノなど消滅してしまったモデルや車名もある。この頃、クルマを取り巻く時代は大きく変わっていったのだ。

違う名前で作り続けられているクルマもあれば、いすゞのように乗用車生産から撤退してしまったメーカーもある。反対に、この本には、ミニバンが一台も出て来ない。
いまほど、種類が多くなかったし、子供が大きくなってしまうと乗り続ける人が少なかったのかもしれない。

「たまたま、『NAVI』の読者にいなかっただけなのでは?」
取材相手は『NAVI』の読者だけではない。読者は半分ぐらいだったはずだ。読者の紹介や、独自に見つけ出して応じてもらった人もいる。これは今でも変わらないし、変えたくない。 読者を取材に行くのは、ラクで助かる。
こちらの取材意図などを説明しないで済むし、昔の写真を揃えてくれたりしていて、準備もしてくれる。こちらの質問に対する答えも事前に考えていてくれたりもするから、取材そのものがスイスイ進む。でも、全員がそうだとモノ足りなくてつまらない。

予定調和&縮小再生産で、どうしても話が小さくなってしまう。こちらが予想もしていなかったクルマの乗り方や付き合い方をしている人も世の中にはたくさんいるわけだから、僕らはそうした人たちに出会わなければならない。

そうした人たちは、初めに必ず言う。
「送っていただいた記事を拝読しましたけど、この人のようにクルマに詳しくないし、マニアでもありません。別にクルマのことなんか、お話するようなことはありませんよ」

でも、話し始めると、みんな止まらなくなる。 クルマの話とは、クルマに乗っている自分の“移動の歴史”であるわけだから、話すことはたくさんあるに決まっているのだ。

この本に登場してもらった27人それぞれ、みんないいことを言っているのだが、中でも岩岡清輝さんが印象に残っている。

この本の中での岩岡さんはホンダ・シティカブリオレを10年13万1000km乗り続けていて、手に入れたばかりのケイターハム・スーパセブンで通勤すると威勢良く宣言している。その後、実際に10年間通勤に使用した。

さらに、「夢のクルマはランドローバー」と言っているが、のちに手に入れて乗っている。中学生時代に『世界の自動車 1961年』に掲載されている中で「死ぬまでに乗りたいクルマ」をすべて所有してしまった。僕は、2回、岩岡さんを取材した。
スーパーセブンの話は、パート4に掲載されている。
(2008年10月)